良い眠りはストレスを吹き飛ばす
睡眠は、心身のメンテナンスをし、疲れをとり、明日への活力を養う大切な時間。生涯、不要になることはありませんが、
人によって必要な時間は異なります。あなたは必要な睡眠が足りていますか?
人々が素敵な夜を取り戻すために
睡眠中は、ただ体を休めるだけではなく、心身の修復や記憶の整理をしています。
まず体は、眠っている間に成長ホルモンを分泌し、疲れをとり、傷んだ部分を修復します。
また、日中に見たことや学習したことを脳に定着させたり、整理したりするのも睡眠の効果です。つまり、睡眠は心身の休息とメンテナンスのためにあるのです。
ですから睡眠時間が不足すると、メンテナンスも不十分になり、疲れがとれなかったり、学習の効果が低くなったりします。
また、寝る前に食べ過ぎたり飲み過ぎたりすると、消化・吸収・分解などのために余分な労力を使い、十分に休養がとれません。
すべてのうつ病は睡眠障害から
日本人は、平均7時間程度の睡眠をとっています。現代人は年々睡眠時間が短くなる傾向にあり、半世紀前に比べると、平均して約1時間の差があります。
実際の睡眠時間が短くなったからといって、必要な睡眠時間が短くなるわけではありません。もともと、必要な睡眠時間は人によって違います。入眠がスムーズで、朝はスッキリと目覚め、熟睡感があり、疲れが取れていて不安感がなく、日中も元気に働けるようなら、睡眠は足りています。そうでなければ、睡眠が足りていない可能性が高い状態です。
睡眠不足は、長期間続くと解消できなくなり、次第に心身の不調につながります。
パソコン、スマホは、眠る1時間前にスイッチを切ろう。
現代人の睡眠時間の短縮傾向は、24時間営業のお店の普及やインターネットや携帯電話(スマートフォン等含む)の発達などにより、どの時間帯でも仕事や取引ができる環境になってきたことなども、影響しているでしょう。寝る直前までこれらを使用していることも多いようです。
人間は強い光を浴びると、眠りにくくなります。ですから朝、日の光を浴びると目が覚めるのです。
また、携帯電話などで使われている青色の光は、特に眠りを妨げることが知られています。
床に就いてもなかなか眠れない人は、1時間前くらいから強い光を避け、難しいことを考えず、のんびり過ごすと、入眠しやすくなります。
睡眠の2時間前には、入浴を済ませましょう。
人間の深部の体温は、副交感神経が優位となる夕方から早朝にかけて徐々に下がります。体温が下がってくると、心身は自然と休息モードに入り、眠くなります。
ところが、入浴直後などで体温が高いままだと、なかなか寝つけないことになります。床に就く2時間くらい前までには、入浴や運動などの体温が上がる活動をすませましょう。
睡眠不足では、ストレスは解消できない。
眠る前は憂鬱な気分だったのに、一晩ぐっすり眠ったらスッキリしていたという経験はないでしょうか。実は、これも睡眠の効果です。
十分な睡眠が得られないと、深い睡眠の間に分泌される疲労回復物質が十分に分泌されず、心身のメンテナンスが不十分になります。そのため心身のストレス解消は不十分になってしまうのです。
Q&A 睡眠に対する疑問にお答えします。
「不眠」とは、「よく眠れない」といった状態で、まだ医療を必要とはしていませんが、集中力や判断力が低下することはあります。
「不眠症」とは、何らかの原因で十分な睡眠がとれないことです。入眠障害(2時間以上寝付けない)や中途覚醒(睡眠中2回以上目覚める)、早朝覚醒(普段より2時間以上早く目覚める)といった状態が1カ月以上続き、苦痛を感じ、社会生活や仕事に支障が出ている状態です。症状に応じた治療が必要です。
「明日から忙しいから今晩寝だめする」ことは、できません。睡眠不足の翌日には、やはり眠気が生じます。
睡眠不足を後から解消することはある程度できますが、長期的な睡眠不足から回復するには時間がかかります。普段からの十分な睡眠が大切です。
睡眠不足による経済的損失
精神・神経科学振興財団と日本睡眠学会の共同研究によると、睡眠不足からくる生産性の低下で約3兆円、欠勤、遅刻、早退、交通事故や産業事故などで約5,000億円。医療費も加えると総計約5兆円の経済的損失があると推計されています。