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眠りの返済は難しい」

睡眠負債による心身へのダメージと恐ろしさ。

睡眠負債を解消した時のパフォーマンスのすばらしさ。

この2点については、かなり説明されましたね。

しかし「なのでしっかり眠ってください」でおわりではありません。

実際問題として、「毎日7時間眠る」のがむつかしいから、このブログを

よんでいただいているのですね。

仕事と生活との折り合いをつけながら、睡眠負荷をどうして減らしていくかについて

そちらに論点をうつします。

手っ取り早い解決法で、日ごろの睡眠不足を、土日の休日に、取り返そう

と思っている人もいるでしょう。

しかし、ほとんどが、そううまくいっていません。

睡眠をお金に置き換えてみてください。

お金の負債は返せても、睡眠負債はなかなか返せません。

週末の寝だめは効果があるのか?

「どれだけ眠れば、寝不足が解消できるのか」を知るために、

健康な人10人を14時間、無理やりベッドに入れた調査があります。

実験前の10人の平均睡眠時間は7.5時間です。

彼らに1日中、好きなだけ寝てもらいました。

1日目は全員13時間、2日目も全員13時間近く眠っていました。

ところが、その後は長時間眠ることができず、徐々に睡眠時間は短くなり

逆に、5時間も、6時間もずーっと、ベッドの中で起きているようになりました。

結局、3週間後に睡眠時間が短くなり、平均8.2時間に固定し、これが

10人の必要な睡眠時間だと考えられました。

しかし、この実験は「理想の睡眠時間」を調べることではありません。

8.2時間が理想の睡眠時間であれば、実際の平均睡眠時間が7.5時間ですから、

毎日40分の睡眠負債をつくっていることになります。

それが正常な8.2時間に回復するまでに、3週間もかかったことになります。

つまり、40分の睡眠負債返すために、毎日14時間ベッドで眠るの

3週間続けなければならないことになります。

これは、あまりにも、非現実的です。

日ごろの睡眠不足を、1日2日で解決しようとするのは、現実的に

無理があるということが、わかりました。

先に紹介したバスケットボール選手に実験からも、同じことが考えられます。

彼らは選手ですから、練習と試合に相当な時間を使っています。

同時に大学生なので、勉強もしなくてはならないし、時には仲間と騒いだり

デートをしたりするでしょう。

やりたいことが多くあっても、1日は24時間しかありません。

なので、睡眠負荷は、あって当然なんです。

なぜ、3週間、4週間たってからパフォーマンスが上がったのかといえば、

実験前の睡眠負荷を返すのに、3,4週間、それだけの時間が

かかったということです。

週末に寝だめをするだけで、睡眠負荷は解決しません。

「好きなだけ寝なさい」といわれてもねむれないし、そもそも眠りをためることは、

できないのです。

結論から言いますと、睡眠の問題を「時間」でコントロールするのは、

難しいということです。

たった、40分の睡眠負荷をかえすのに、3,4週間、毎日14時間もベッドにいるのは

非現実的です。

また、珍しい遺伝子を持つ人でない限り、短時間睡眠には耐えられません。

そこで、いかに睡眠の質を高めるかが、重要になってくるわけです。

次の章で、考えてみましょう。

「黄金の90分」で最高の脳と体を作り上げる

世界のエクゼクティブは初めている「睡眠メインテナンス」

睡眠(寝ている時間)と覚醒(起きている時間)は2つで1つ。

良い睡眠がなければ良い覚醒はなく、良い覚醒によって良い睡眠も

得られるのです。

スタンフォード大学をはじめとする研究者たちや、

日本やアメリカの経営者を見ても、成果を出している人は

眠りについての意識が高く、すでに「睡眠メインテナンス」を始めています。

食事に注意し、体を鍛えてメインテナンスするのは、もはやビジネスパーソンの

常識です。

世界のエグゼクティブやアスリートは、それらと同等に、睡眠を

大切にしています。

むしろ睡眠という基礎があってこそ、食事やエクササイズの効果が上がるのです。

かれらは、最先端の情報を得るスピードがはやく、いいと思えばだれよりも早く

取り入れようとします。

マーケティング用語でいえば、専門家は最新の知識を生み出す

イノベーター、出征する人は、アーリーアダプター(初期採用者)ということになります。

睡眠医学の研究が進み、最新の情報を得た人は、眠りによって

覚醒時の脳と体の働きが決まることを、いち早く理解しています。

一般にアーリーアダプターは全体の13.5%、アーリーアダプターに続く

人たちはアーリーマジョリティ(前期追随者)で、全体の34%を占めています。

読者には、ここをまず目指してほしいと思います。

少し前までは、「眠り=休息」という古い解釈がまかり通っていたため、

今でも「休まなくても平気だ!」で押し通すタイプの人がいます。

おそらく、こういう人には、どれほど眠りが大切だといっても

耳を傾けないでしょうね。

ひたすら現状維持にこだわるラガード(全体の14%)とは、直訳しますと

「グズな人」ですが、彼らは、時代の変化に興味がなく、

新しいものには疑いと否定の目を向け、非常に保守的です。

こういう人たちも一定数いるのが社会です。

すくなくとも、あなた(読者)は、その一員ではないでしょう。

「最初の90分」を深くせよ!

優秀な人は当然ながら多忙ですよね。

睡眠時間をたっぷり確保するのは難しいでしょう。

そこで提案するのが「睡眠の質を最大限に高める」ことを突き詰めた

メソッドです。

人は眠りに落ちてから目覚めるまで、ずーっと同じように眠っているわけでは

ありません。

眠りにはレム睡眠(脳は起きていて体が眠っている睡眠)とノンレム睡眠

(脳も体も眠っている睡眠)の2種類があり、それを繰り返しながら

眠っているのです。

寝付いた後に、すぐに訪れるのはノンレム睡眠です。

とりわけ最初の90分のノンレム睡眠は、睡眠全体の中でも

最も深い眠りであると言われています。

この段階の人を起こすのは非常に難しく、無理に起こすと

頭がすっきりしません。

脳波を測定すると、非活動状態であることを示す「大きくて、徐行運転のような

ゆっくりとした波形」が出現しますので「徐波睡眠」との呼ばれています。

そして、入眠後およそ90分後に訪れるのが最初のレム睡眠です。

まぶたの下で眼球が素早く動く「急速眼球運動」が見られ、このタイミングで

(割と現実的な)夢を見たりします。

レム睡眠中は意識はありませんが、比較的簡単に起こすことができます。

ちなみに、レムとは「急速眼球運動(  Rapid eye movement  )」の略です。

この「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」明け方ぐらいまでに、4,5回繰り返し表れ

明け方になるとレム睡眠の出現時間が長くなるのが通常の睡眠パターンです。

この浅くて長い明け方のレム睡眠時に目覚めるのが、自然の流れといわれて

います。

ノンレム睡眠は入眠直後が最も深いのですが、逆に明け方に近づくつれて、

眠りは浅くなり持続時間も短くなります。

睡眠メインテナンスで意識してもらいたいのが、「最初のノンレム睡眠」を

いかに深くするかということです

ここで深く眠れれば、その後の睡眠リズムも整いますし、自律神経や

ホルモンの働きもよくなり、翌日のパフォーマンスも上がることになります。

つまり、入眠直後のもっとも深い眠りの90分が、最高の睡眠のカギを

握っているといえます。

寝始めが作る「最強ホルモン」

「最初の90分が眠りのゴールデンタイム」といわれていますが、

まさに黄金なのです。

例えば、ロースホルモン(成長ホルモン)が最も多く分泌されるのも、

最初のノンレム睡眠が訪れたとき、この一番深いノンレム睡眠の質が悪かったり

外部から阻害されたりすると、グロースホルモンは正常に分泌されません。

グロースホルモンは、その名の通り子供の成長に関与するだけではなく、

大人の細胞の増殖や正常な代謝を促進させる働きがあります。

「アンチェンジングに効果がある」などともよく言われています。

また、長く起きていると「眠りたい」という睡眠欲求(睡眠圧)が高まってきますが、

最初のノンレム睡眠でその睡眠圧の多くが解放されることも分かっています。

黄金の90分の質を高めれば、すっきりとした朝を迎えられる。

昼間の眠気の消えます。

さらに、「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」こともなくなります。

詳しくは、2章で述べますが、仮に4時間しか眠れなくとも

最初の90分の質が良ければ、その4時間の質を最大限に高めることができます。

逆に言いますと、「眠る時間がない」なら絶対に90分の質を下げてはいけない。

ということです。

眠りはもちろん、翌日のパフォーマンスまで、シルバーやブロンズどころか

鉄くずになってしまうでしょう。

「睡眠の役割」を知るために、ノンレム睡眠の断眠実験を行うことがあります。

最初の90分を阻害しますと、その後の睡眠は計測不能となるほど

乱れてしまい、実験が継続できなくなりますので、2周期目から断眠をすること

も多くなります。

(なので、寝たばかりの人を起こすのはおすすめしません。)

それほど、この90分っは睡眠に欠かせない、最大基礎なのです。


「Btter than not hing」の法則

ショートスリーパー以外の普通の人は、最低でも6時間以上眠るの

ベストです。

「時間にとらわれないでほしい」といいましたが、この6時間は確保していただ

けると、睡眠学者としても、喜ばしいことです。

とはいえ、ベストの眠りが難しい人に、ベターを提供するのが、このブログの目的です。

Btter than not hing 「」とは「やらないよりまし」という、意味ですが

マシどころの話ではなく、提案する「睡眠のベター」によって、人生の質さえ

変わってくると、断言します。

そして、そのベターを支えるのが、黄金の90分を手に入れるために欠かせない

2つのスイッチ「体温」と「脳」なのです。

これについては3章にて、書いています。

よく眠るだけでは、パフォーマンスは上がらない。

逆にいいますと、理想通りに睡眠時間を増やすことが不可能でも、

眠り方を変えることで睡眠の質が高まり、覚醒時のコンデションが整うばかりか

パワーも増大します。

それでは「質の良い睡眠」は具体的に覚醒時に私たちにどんな影響を

およぼしているのでしょうか。

睡眠には、果たしてどんな\な力がねむっているのだろうか。

これから「睡眠に秘められた力」解き明かしながら、謎めいた

「眠りの実態」に迫る旅に出ましょう。

次の章もお楽しみにしてください。

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