メリット① 寝ているだけで「自律神経」が整う
入眠して、眠りが深まっていくときに、交感神経の活動が弱まり、
副交感神経優位になります。「活動時には交感神経、休息時には副交感神経」
という自律神経の役割交代がスムーズに進みますと、脳も体もリラックスし
しっかり休息をとることができます。
レム睡眠に入りますと、脳波は覚醒時に近い波形を示し、交感神経の活動が
活発になって呼吸や心拍が不規則に変化します。
前述したように、自律神経は呼吸、体温、心臓や胃腸の働きなど、
生命を維持するために欠かせないものです。
自律神経の不調は体ばかりか心の病気の原因にもなります。
頭痛、ストレス、疲労感、イライラ。肩こり、冷え性など、「何となく調子が悪い」
という違和感の根っこには、自律神経の乱れがあることが多いです。
自律神経の重要性を、すでに知っている人も多いでしょうね。
音楽や香り、絵本やストレッチなど、自律神経のバランスを整える
方法論もたくさん提唱されています。
そのなかでも「黄金の90分をしっかり眠る」というのは、自律神経を
整える最高の方法なのです。
自律神経のバランスがいいから深く眠れるのか、深く眠るから自律神経が
整うのかといえば、鶏が先か、卵が先かのような話ですが、
自律神経はそれだけ深く眠りとかかわっています。
メリット② グロースホルモンが分泌する
“眠気”を制する者が人生を制す!
生物の体はすべて、24時間前後で1周する「固有の体内時計」を持っています。
このリズムが「サーカディアンリズム(概日リズム)」と呼ばれているもので
、実際には地球の自転に合わせて「24時間()日内リズム」で動いています。
人間の体内時計は24時間よりも長いのですが、健常な人であれば
地球のリズムである「24時間周期」に日々軌道修正がされていて、
多くのホルモンもこの日内リズムの影響下にあります。
しかし、グロースホルモンの場合、日内リズムの影響も受けますが、
その分泌量は圧倒的にノンレム睡眠の質に依存しています。
グロースホルモンは第1周期のノンレム睡眠時に際立って多く(70~80%)分
泌される特殊なホルモンで、「いつもなら寝ている時間」に起きていると
全く分泌されません。
また、入眠時間を明け方や日中にずらしますと、入眠初期に分泌を観察すること
ができますが、夜間の第1周期ほどの大きな分泌はおきません。
グロースホルモンは子供の成長にかかわっていますが、若者や幼少期だけの
ものではありません。量は減るものの、老人になっても分泌します。
前述したように成人のグロースホルモンは、細胞の成長や新陳代謝促進、
皮膚の受難性アップや、アンチエイジングの役割も果たすとされています。
生き生きと活動するためには、ぜひ味方につけておきたいホルモンです。
最初の90分で1番深いノンレム睡眠が出現しないと、グロースホルモンの分泌
は減ってしまいます。
残りの睡眠時間では、睡眠の深さも変わり、脳と体が覚醒のの準備
を始めるので、1晩通じて分泌量が極度に減少します。
これを逆手にとれば、最初の90分を深く眠れば、グロースホルモンの80%
近くは確保できることになります。
仮に5時間睡眠で起きなくてはならなくても、最初の90分をしっかり眠れば
少なくともグロースホルモンの全体量は、さほど減らさずにすむのです。
メリット③ 「脳のコンデション」がよくなる。
質の良い眠りには、ノンレム睡眠だけでなく、レム睡眠も欠かせません。
例えばうつ病患者には、最初の深いノンレム睡眠が十分でなく、前述のように
レム睡眠もとても早く出現する(従来より、うつ治療として、「レム睡眠断熱
法」もあります。)
また、日中何度も突然眠ってしまうナルコレプシー患者は、いきなり
レム睡眠が出現し、これが「金縛り発作」や「脱力発作」の原因になります。
因果関係はまだはっきり解明できていませんが、抗うつ薬の多くは「レム睡眠抑
制」の作用があり、「ナルコレプシー患者の「脱力発作予防」に用いられています。
そうしていったん病状が改善し、最初の深いノンレム睡眠が整うと、
レム睡眠も整い、黄金の90分へ土地被いていきます。
その結果、全体のスリープサイクルも整うことがわかっています。
眠りと眠りの関係は、まだまだ謎が多いですね。
しかし、うつ病や総合失調症の患者は最初の90分が乱れている事実
から「黄金の90分には、脳のコンデションを整える働きがあります。」
「脳のコンデションが黄金の90分に反映される」という仮説が
成り立つでしょう。
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