スポンサーリンク




「①どう起きているか」でぐっすりか否かが決まる

睡眠と覚醒は表裏一体である

西野精治氏は、睡眠の専門家であると同時に、覚醒の専門家でもあります。

例えば、西野精治氏の専門であるナルコレプシーという睡眠障害者の対策は

「突発の眠気を抑える」ことではなく、大事なのは「覚醒のスイッチ」をオン

することです。眠気に対して我慢するという備えではなく、覚醒というスイッチ

で攻撃する。「攻撃は最大の防御」なのです。

睡眠と覚醒ははセットになっています。

朝起きてから眠るまでの行動習慣が最高の睡眠を作り出し、

最高の睡眠が最高のパフォーマンスを作り出します。

これが、覚醒と睡眠の「量循環」なのです。

「ぐっすり眠る人」は朝から違う!

覚醒と睡眠んが表裏一体である以上、朝寝坊し、1日を眠気とともに過ごし

悪影響を及ぼすような昼寝をしますと、夜になっても睡眠のスイッチが

入りません。入眠潜時が長引いて寝付けず、眠ったところで浅く、

黄金の90分を逃してしまいます。そして、睡眠全体の質が下がります。

そして、翌朝、起きられないという悪循環に陥ります。

不眠症の患者は、脳が過活動になっていると思われます。

夜になっても脳の興奮が終わらねいのです。「不眠は朝から始まる」といわれる

のは、睡眠と覚醒がセットになっているので、朝から脳の過活動が

始まっているからなのです。

ビジネスパーソンの大多数も、脳が過活動になっています。

夜になっていきなり、「さあ、脳を休めて寝よう」とはなりません。

睡眠に悩んでいる人は、朝から覚醒行動を変えていこうということになります。

スタンフォードが見つけた「覚醒のスイッチ」

「体温のスイッチ」と「脳のスイッチ」で人間は眠ります。

では、「覚醒のスイッチ」とはどんなものなどでしょう?

「神経回路のどこを刺激したら起きるのか」「どこを刺激したら寝るのか」

というシステムは、現在かなり解明されています。

ノーベル賞の有力候補のスタンフォード大学のカール・ダイセロス氏の

研究は、その最先端として、世界で注文されています。

カール・ダイセロス氏は「オプトジェネティクス(光遺伝子)」の先駆者です。

神経細胞群に「光に反応する物質」を発現させて、頭の中に細い「光ファイバー」

を入れ光を当てることで、脳の神経細胞を自在に興奮・鎮静させる研究を

おこなっています。

「昔であれば脳に電極を入れて電気刺激を与える」ことでしか見ることができな

かった反応が「光を当てるだけでわかる」ようになったのです。

マウスを使って、光で「覚醒・睡眠」を操る実験をしました。

「覚醒の役割を持つオレキシン」という神経伝達物質を以前、紹介

しましたが、オレキシンは2か所の研究所で同時に発見されたため、

2つの名前があります。

サンディエゴのスクリプス研究所のルイス・デレシア氏が発見した

「ヒポクレチン」はその一つです。

西野精治氏とSCNの藤木通弘氏は、ルイス・デレシア氏に「マウスの睡眠を

記録する方法」を教えました。デレシア氏はダイセロス氏の協力を得て

この ヒポクレチン 神経細胞に「光に反応して興奮させる受容体」を発現させ、

そこに光刺激を与える実験をしました。すると、それまで眠っていたマウスが

瞬時に起きました。この「マウスの ヒポクレチン 神経細胞に光を与えると

覚醒反応が得られる」という発見は世界初で「Nature」に報告されています。

同じやり方で「光に反応して抑制させる受容体」を発現させ光刺激を与えれば

、マウスを瞬時に眠らせることも可能なのです。

科学は進歩し続けます。

だからといって、ビジネスパーソンが気軽に「じゃあ、今から寝たいので、

光刺激で覚醒系ニューロンをオフにしよう。」とか「光刺激で今から3時間

ぐっすり寝て、その後また光を当てて良い目覚めを起こす」という段階

ではありません。将来はこう言ったことも可能になるでしょう。それ以前に

パーキンソン病や筋委縮性側索硬化症などの神経難病治療への

応用が期待されています。

しかしながら、スイッチ一つで、睡眠と覚醒がコントロールできるようになると

いいですね。新しいビジネスが生まれそうですね。

まさに、夢のような世界ですね。

しかし、現時点でも、理論を応用すれば「覚醒のスイッチ」を特別な道具を

使わなくてもオンにすることは十分可能です。科学的根拠があり

かつ良睡眠の効果が期待できる覚醒のスイッチのオン・オフ法を

紹介しますので、意識して取り入れてみてください。

そのカギは、2つの覚醒スイッチを押すことです。

2つのスイッチとは、「光」「体温」なのです。

覚醒のスイッチ①  光

人間はおおよそ、「24.2時間」のサーカディアンリズムで動いています。

そんな私たちが、24時間の地球のリズムに同調できるのは、光が

あるからです。では、光がなかったらどうなるのでしょう?

マウスのサーカディアンリズムは24時間より短く、例えば「23.7」時間の種類も

います。

このマウスを光が全くない状態に置く実験をしますと、彼らは固有のリズム

で生活することになるので、生活の開始時間が毎日18分ずつ早くなります。

マウスの体温の変化から、かれらにとっての「生活開始」は、人間では

起床や洗顔、朝食に当たると思われます。

この条件で1か月飼育を続けると、夜行性のマウスはなんと、昼の時間帯に

活動しだしました。

地球のリズムに影響をうけず、生物固有の体内時計でのみ生きるような状態は

「フリーラン」状態と呼ばれています。

人間の場合は、光が全くない状態ではまともなせいかつはできず、発狂

する可能性さえあります。軽作業ができる程度の薄明かりの中で同じ、

「フリーラン」の実験を行いました。そのため、光の影響を完全に

除去できず、よく「人間の体内リズムは25時間」といわれていました。

しかし、今は「24.2時間」と、それより短いと考えられています。

光はいうまでもなく、朝、昼、夜をつくりだしています。

季節によっては夜が長くなったりみじかくなったりします。

24時間の周期性になっていることは間違いありません。

私たちの朝と夜は光なしで訪れません。体温、自律神経、脳やホルモンの

働きも、光がないとリズムが崩れて調子が悪くなってしまいます。

奈良県立医科大学の佐伯圭吾氏、大林賢史氏が実施した平城京に住む高齢者

を対象にした1000人規模の調査があります。

白内障(光感知機能が減弱した)患者を、「治療を受けるグループ」と

「受けないグループ」に分けてデータを集積したところ、手術を受けたグループ

で認知機能が良かった。これは、光の刺激が脳の活性化に影響を与えることを

示す貴重な報告です。また「夜間の豆電球程度のの明かりが、肥満や脂質代謝

異常のリスクを増やす」というユニークな発表も、同グループが行っています。

これほど大切な光は、窓を開けるだけであびることができる。

朝は太陽に光を必ず浴びる習慣をつけましょう。

数分程度の少しの時間でいいのです。雨や曇りで太陽が見えなくても

体内リズムや覚醒に影響を与える光の成分は脳に届いているので

大丈夫です。

覚醒のスイッチ② 体温

体温はサーカディアンリズムの影響を最も受けています。睡眠中は下がり

覚醒時は上がる。このリズムを外的要因で崩さないようにすることが大切です。

要は、覚醒時はしっかりと体温を上げてスイッチオンにしておくのが、良い覚醒

を保つために大事なのです。

光と体温、この2つが主にいい覚醒をつくっています。そのほかにも

ホルモンや神経伝達物質もその一翼を担っています。入眠に比べると

たくさんある覚醒のスイッチを押すための1日の行動習慣を紹介していきます。

朝から順番に実行していけば、その夜の睡眠の質は確実に上がります。

スポンサーリンク




Twitterでフォローしよう

おすすめの記事