20年ほどの間に、睡眠に関して多くの謎が解明されてきた。睡眠には、健康にとってじつにさまざまな効果がある。たとえば脳の中を見てみると、学習、記憶、合理的な決断と選択といった機能が睡眠によって強化される。睡眠は心の健康にとっても欠かせないものであり、寝ることによって感情を整え、次の日も安定した心で社会の荒波を乗り越えることができるのだ。
同じ時間に寝て、同じ時間に起きる
睡眠パターンがコロコロ変わると適応するのに苦労する。週末に寝だめをしても、平日の睡眠不足の埋め合わせにはならない。起きる時間だけではなく、寝る時間にもアラームが鳴るようにする。この12 のアドバイスの中でどれか1つだけ守るなら、ぜひこのアドバイスにしてもらいたい。
寝室にデジタル機器を持ち込まない
睡眠の妨げになるもの、たとえば音、明るい光、寝心地の悪い寝具、暖かすぎる室温などは、寝室から一掃する。室温は少し寒いぐらい(理想的な室温は摂氏18・3度)のほうがよい。不眠症の人は、よく時計をじっと見てますます眠れなくなる。文字盤や数字が見えないようにするといい。
「吸血鬼ホルモン」メラトニン
視交叉上核は、ある物質を使って、夜と昼の情報を脳と身体に送り続けている。その物質とは、「メラトニン」と呼ばれる。メラトニンは「暗くなった」という情報を全身に送ることによって、眠りに就く「タイミング」をコントロールしている。
徹夜すると脳はどうなる?
徹夜の経験はある人なら、おそらく、眠くてたまらない時間となぜか頭が冴えわたる時間の両方を経験しただろう。眠りと覚醒を決める2つの力、24時間単位の概日リズムと、眠気を起こすアデノシンは完全に別の存在であり、たいていは一緒に行動しているが、別行動も可能だということだ。
アスリートが睡眠の効果を続々証明
夜の睡眠が6時間を切るようになると、さまざまな問題が生じる。肉体が疲労するまでの時間が10~30%短くなる。筋力のピークが下がり、筋力を維持する力も下がる。そしてさらに研究が進み、運動機能の回復と睡眠の間にも、大きな関係があることがわ かってきた。
先進国では自動車事故が多発するのか
夜遅くまで起きていると、アルコールは一滴も飲まなくても、午前2時に車を運転して帰宅するころは、飲酒運転と同じような状態になっている。睡眠が5時間未満になると、自動車事故を起こす危険は3倍に。さらに睡眠が4時間以下になると、事故を起こす危険は11.5倍だ。睡眠が1時間失われるたび、事故を起こす確率は飛躍的に増加している。